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魚沼市政

マスクの住民監査請求(その2)第7号

1 請求の趣旨

予備費の充当が違法な予算執行だとする理由は、既決予算の不足を補うため執行したものではなく、当初予算の細目に無い新たな事業として児童生徒に支給するフェイスマスク購入に議会議決を得ずに予備費を使って支出執行したことにある。地方自治法第217条1項並びに第217条2項に、予備費は既決予算の全ての項目について不足する軽微な追加予算の財源として流用は認められているが、否決された予算には使用できないとされている。本件は当初予算で予定されていた事業ではなく、議会に附された案件でもない。仮に、議会提案して承認されると予想されたものであっても、議会で賛否が不確定な事業に対し、市長や職員の判断で予備費を使うことは許されない。

また、購入したフェイスマスクを無償配布したことは、市内に在住する児童生徒に対する物品の無償譲渡であり、市長が「公益上の必要」について議会承認を受けていない以上、地方自治法第232条の2に反する違法行為である。

次に、市内児童生徒に対しフェイスマスクを配布する事業を実施したのは魚沼市長内田幹夫ではあるが、実際に児童生徒に対して配布を行ったのは各小中学校であり児童生徒の担任教師である。無償の配布物品に市長名を記したことは、売名行為と解される。配布に際し、配慮が足りなかったと言わざるを得ない。

本件児童生徒にフェイスマスクを緊急配布したのは、新型コロナ感染症対策の一環で、その考え方は評価できる。国も市に対し、新型コロナ対策経費として交付税措置されている対象にもなりうる政策であり、議会提案されていれば多くの議員の賛同が得られ、喜ばれたと思う。しかし、違法な行政執行となれば別次元の問題である。12月14日に市長が職員に提案した時点から、商品の見積もり、在庫確認、配布の方法など準備を進めて定例会の初日に提案する補正予算で臨めば、決して遅い執行とはならなかっただろう。しかし市長は、議会12月定例会会期中であったにもかかわらず、議会に事業提案、補正予算提案をしなかったばかりか、議会に報告も無で予備費執行を行ったことは、はなはだ遺憾と言わなければならない。また、市長提案を受け、法令に従った正規の行政手法で事務執行できなかった職員も問題であり、特にこの問題を取り上げ質疑した令和3年2月8日に行われた総務文教委員会あるいは、令和3年3月18日に行われた令和3年度魚沼市会計予算審査特別委員会での総務政策部副部長大塚宜男の答弁は、行政執行上の落ち度を認めないばかりか、詭弁を弄して議会を愚弄したと言わざるを得ない。これは、懲戒に値する。市長においては、誤った行政手法を提案した職員、執行後に非を認めない職員、議会を愚弄した職員を厳正に処分することを求める。

(次号に続く)

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