また、建設重機を使った作業現場では、少なからず油汚染のリスクがある。
例えば、バックホー(油圧式ショベル)の作業機(バケット、アーム等)を動かす油圧シリンダーの伸縮ロット軸受け部は、グランドパッキンを介して少量の油(作動油)が染み出し、伸縮ロットの表面に常に油膜を形成するようになっている。
また、可動部分には自動または手動により常にグリス(潤滑油)を注入する仕組みであり、可動部から外にはみ出したグリスは作業中に地面に落下する。これは正常な機械の場合であり、日常メンテナンスをしていたとしても、エンジンオイルや作動油漏れのリスクが常に伴っている。
また、建設重機や発電機などの機械の多くは軽油を燃料としている。これら機械には現場に燃料を搬入し給油しており、給油の際に燃料をこぼすリスクもある。これらの油脂類が降雨によって流され、希釈させて油膜を形成することは十部ありうることである。
当該建設工事現場では、複数の建設重機が稼働していた。施工業者である伊米ヶ崎建設は、まずは油汚染の原因は自社工事の重機等によるものではないかと疑い、社内調査するのが筋合いである。汚染土壌の油性調査、定積調査が行われていない段階で、旧あぶるま寮の重油と推定して施主側に報告したことがそもそもの間違いである。
市報告書(令和2年魚管第159号)によれば、時系列と市職員が取った対応は次のとおりである。
・令和2年10月30日午前中 (福)魚沼更生福祉会の職員が来庁し、敷地の土壌が油汚染しているとの報告をしている。
・同日午後、魚沼市管財課係長小西政勝が現地を確認し、土壌汚染の原因が旧守門中学校寄宿舎(あぶるま寮)の重油であるとの思い込みで聞き取り調査を始めている。
・市は11月5日午前中に、南魚沼地域振興局健康福祉環境部環境センターに連絡し、同日午後に環境センター職員の現地確認を受けている。この時、同センター職員から、近隣住民に大きな被害がある可能性が少ないことから、福祉会と市が協議して撤去を進めてはどうかとの助言があった。
・11月6日に市長に状況報告し、市の費用負担について了解を得ている。また同日、魚沼更生福祉会が市庁舎を訪問し、市の支援要望があった。